今回ご紹介するのは、愛知県名古屋市に本社を構え、建築会社・工務店の不動産仲介業参入を専門に支援する「株式会社物件王様」です。全国に250社ほどの加盟店を抱えるボランタリーチェーン(VC)として、建築会社が自社の建築事業を伸ばすための「不動産の窓口」づくりを支えています。
建築会社が不動産参入を考えるとき、多くはまず「売主から物件を預かる」という業界のセオリーを選びます。ところが、その領域は財閥系・電鉄系・地場の老舗が長年ブランディングコストを投じてきた市場です。後発で同じ場所に飛び込むことが、失敗の典型になりやすいと前島氏は指摘します。
物件王の加盟店では、別のアプローチによって成果が生まれています。1件あたりの反響単価は、新築営業で一般的とされる約10万円に対し、エリアによるものの5,000円から1万円ほどに収まる加盟店が多いといいます。なかには、不動産未経験から1年目で新築を4〜5棟上乗せした加盟店の例もあります。
本記事では、同社取締役 前島勇也氏に、建築会社が不動産事業を失敗なく始め、軌道に乗せるための考え方について詳しく伺いました。
▼本インタビューは動画でもご覧いただけます
目次
会社概要と事業内容
話し手

株式会社物件王 取締役 前島 勇也氏
愛知県名古屋市に本社、兵庫県たつの市にオフィスを構える、建築会社・工務店向けの不動産仲介業参入支援を専門とする会社です。不動産実務の研修、集客に特化した自社専用ホームページの制作、物件・顧客・営業を一元管理するシステムの提供まで、参入から運営までをワンセットで支援しています。
加盟形態はフランチャイズ(FC)ではなく、ボランタリーチェーン(VC)です。看板を共有しないため、加盟店は自社名・自社ブランドのまま不動産事業を展開できます。全国に約250社の加盟店がありますが、「物件王」の名前を掲げて営業している会社は一社もありません。
▼株式会社物件王 公式ホームページ
https://www.bukkenking.com
なぜ「売主」ではなく「買主」から始めるのか — 後発参入のセオリーを覆す発想
建築会社が不動産事業を始めるとき、どのような流れで進めるのがよいのでしょうか。
建築会社さんに限らず、不動産業を始めようと考えたとき、多くの方がまず「売主さんから物件をたくさん預かりたい」「自社で物件を持ちたい」と思われます。不動産業界のセオリーも、この「売りから始める」という流れです。
ただ、当社は基本的にこれをおすすめしていません。むしろ「買主さんから始めましょう」とお伝えしています。
理由の一つは、セオリーであるがゆえに競合が密集していることです。財閥系や電鉄系の不動産会社、地場で何十年も営んできた会社が、これまでずっと売主さん向けにブランディングコストを投下してきました。そこへ今日始めたばかりの会社が後発で突っ込んでいくのは、いわばレッドオーシャンに飛び込むようなものです。
周囲に相談すると「売主さん向けから始めた方がいい」と助言されることが多く、その結果として売りから入ってしまう。これが、よく見かける失敗のパターンだと考えています。

買主起点が自社の建築受注につながる理由 — 川上の顧客接点という考え方
なぜ「買主」から始めることをすすめているのですか。
もう一つ、まったく逆の理由があります。私たちの加盟店は建築会社さんです。つまり、買主さんはそのまま施主さんになり得る、ということです。
土地を買っていただければ、新築を建てる可能性があります。中古住宅を買っていただければ、リフォームやリノベーションにつながる可能性があります。
最近は、予算が合わずに土地からの注文住宅を断念し、中古住宅を買ってリノベーションする方が本当に増えています。先日も、横浜市やYKKさんなどとご一緒した「性能向上リノベーション」をテーマにしたセミナーがありました。性能を高めるリノベーションを手がけていこう、という内容です。
では、それを実際に行うのは誰かというと、これから家を買う買主さんです。だからこそ、買主さんから始めることが、コア事業である建築の成長につながっていくと考えています。

建築会社が不動産窓口を持つ3つのメリット
不動産の窓口を持つことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
大きく三つあります。
一つ目は、費用対効果よく集客できることです。新築をメインにされている会社さんでは、1件の反響単価が今は約10万円といわれています。リフォーム・リノベーションでも5万円前後とされます。一方、当社の加盟店の反響単価は、エリアにもよりますが5,000円から1万円ほどです。これは加盟店の実績としての数値です。
二つ目は、川上のお客様と出会えることです。家探しを始めたばかりの方と、建築の競合がいない状態で接点を持てます。私が見たある調査では、家が欲しいと感じたときに最初に当たる窓口は不動産が53%、住宅展示場が40%、地元の工務店が7%という結果も出ています。建物だけでなくエリアや場所を優先する方が多く、その情報は不動産の窓口に集まるためです。建築のプロとしてコンサルティング営業ができれば、その先の自社受注率は高まっていきます。
三つ目は、「受注できるか、できないか」という一発勝負に持ち込まなくてよいことです。注文住宅を受注できれば一番ですが、中古住宅+リフォームでも、建売でも、それぞれ仲介手数料をいただけます。出会ったお客様がどの選択をされても、自社の利益につながっていきます。

「不動産未経験者」の採用をすすめる理由
不動産事業を始める際の採用では、どのような人を採るのがよいのでしょうか。
できれば、不動産業界の未経験者の方を採用していただいた方がよいとお伝えしています。
私たちが考えるビジネスモデルは、「自社の建築受注につなげる」という目的のもと、これまでの不動産業界の慣習とはまったく逆のことをやろうとしています。そのため、不動産業者の方がお聞きになると「少しわかりにくい」と感じられることがあります。
一方、建築会社の方はよく理解してくださいます。エンドユーザー目線のビジネスモデルでもあるため、業界の慣例にとらわれていない未経験者の方の方が、建築受注につなげる目的でこの事業を推進しやすいと考えています。建築部門の方が不動産の窓口を担う形も有効です。自社の建築受注につなげたい、という目的が共有しやすいためです。

後発でも勝てる集客戦略 — ランチェスター「局地戦」と物件情報シェア
従来のやり方から、集客面で変えるべきポイントはありますか。
後発で始めた窓口が競合にどう勝つかという観点で、私たちはランチェスターの局地戦という考え方を一つの軸にしています。要は「絞りと集中」です。
商圏内でエリアを絞り込み、そのエリアの物件情報のシェアでナンバーワンを取ってしまえば、エンドユーザーは自社のところへ来てくださる。これが基本的な戦略です。先ほどお伝えしたとおり、お客様はエリアや場所を優先されるためです。
集客の手段として、SUUMOやアットホーム、HOME’Sといったポータルサイトを使う方法もあります。ただ、そこには競合が数多くいて、なかなか勝ちにくいのが実情です。だからこそ、自社のホームページをしっかり作り込み、物件情報のシェアを担保することを念頭に置いていただきたいと考えています。「買主さんから始める」と言いつつ物件情報のシェアを高めるのは矛盾に聞こえるかもしれませんが、買主さんをメインにしながらシェアを高める方法はあります。

建築会社にとって不動産参入の障壁は思うほど高くない
不動産参入のハードルは高いのではと感じる方も多いと思います。実際はいかがでしょうか。
建築会社さんが不動産業に参入するのと、不動産業者さんが建築業界に参入するのとでは、参入障壁がまったく違います。
建設業許可では、常勤役員等のうち1人が、建設業に関して原則5年以上の経営経験を持つことなどが求められます。一方、宅地建物取引業(宅建業)の免許は、専任の宅地建物取引士を設置するといった要件を満たせば取得への道が開けます。経営経験の年数を問う要件はありません。
皆さんはすでに建築のプロですから、宅建業の側に必要な要件を整えていく形になります。けっして簡単とは言いませんが、不動産業者が建築業を一から立ち上げる場合に比べれば、建築会社が不動産の窓口を持つ障壁はそれほど高くないと考えています。
出典:許可の要件|国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html

加盟店の成果に見るビフォーアフター — 集客コスト・建築受注・仲介手数料
実際に成果を出している加盟店では、どのようなビフォーアフターが生まれていますか。
まず、集客コストです。仮に反響単価が10万円で、毎月10件の反響が欲しいとすると、月100万円の集客コストがかかります。一方、当社の加盟店の反響単価は1万円前後なので、10件でも10万円ほど。差は月90万円、年間では1,000万円を超えていきます。売上が同じでも、営業利益として残る金額は大きく変わってきます。
次に、不動産の窓口からの建築受注です。先日、北陸の加盟店で、不動産をまったく経験したことのない会社さんが、加盟から1年も経たないうちに、不動産の窓口から1人で年間8棟を受注された例がありました。加盟店の平均でも、新築面では1年目で4〜5棟ほど上乗せいただいている印象です。
中古住宅+リフォームも一つの柱です。中古住宅を買われた方のほぼ全員が、加盟店でリフォームを受注できているという実感があります。来店率も35%以上で推移しています。
加えて、副産物として仲介手数料が積み上がります。原価のかからない売上項目のため、これまでなかった収益が、加盟店によっては年間1,000万〜1,500万円ほど積み重なっていきます。いずれも加盟店の事例・平均としての数値です。

自社ブランドを残したまま不動産へ — 物件王が「黒子」に徹する理由
最後に、物件王の支援内容と、大切にしている姿勢を教えてください。
大きく三つの柱で支援しています。一つ目は実務支援です。実務を長く担ってきたスーパーバイザーが複数在籍し、仲介からの新築受注やリフォーム・リノベーション受注で成果を上げる方法を支えます。二つ目は、不動産専用ホームページの制作です。費用対効果のよい集客の土台をつくります。三つ目は、物件管理・顧客管理・営業管理・経営分析を担う管理システムの提供で、これは自社開発しています。
立ち上げの最初から運営まで、まとめて支援する体制です。そして私たちはFCではなく、VC(ボランタリーチェーン)として展開しています。約250社の加盟店がありますが、「物件王」の名前を掲げる会社は一社もありません。
私たちは黒子に徹します。加盟店の皆さんが何年も思い入れを持って使ってこられた名前、信頼、ブランディングを、そのまま使って事業を展開していただいて差し支えありません。物件王の名前が表に出ることはないため、その点は安心していただければと思います。

次は、自社ブランドのまま「不動産の窓口」を持ちませんか?
物件王の加盟店が実現した「川上の顧客接点の獲得」と「費用対効果の高い集客」は、たまたまうまくいった事例ではありません。買主起点で土地探しの段階からお客様と関わり、商圏内で物件情報のシェアを高める。この設計こそが、後発であっても選ばれる窓口をつくる土台になっています。
「自社建築の受注が思うように伸びない」「新築・リフォームだけの集客に限界を感じる」「不動産をやりたいが、宅建業免許も宅建士もいない」。こうした課題に対し、物件王は建築会社・工務店の不動産仲介業参入を専門に支援するボランタリーチェーンとして、実務研修・集客特化のホームページ・物件と顧客と営業を一元管理するシステムをワンセットで提供しています。自社ブランドを残したまま、不動産を新しい収益の柱として育てていけます。
物件王では、参入の全体像を凝縮した「早わかりガイド」(全32ページ)を無料でご提供しています。開業までのケース別スケジュール、推奨される人員体制、加盟店の声、管理システムの機能までを収録しています。不動産参入を検討している建築会社の経営者の方は、ぜひ一度ご覧いただければと思います。

【物件王】建築会社のための不動産仲介業参入 早わかりガイド
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